衣替えの季節になった。 クリーニングの季節である。 昨今さまざまなものが値上げされており、クリーニング代も例外ではなく。 なので、今年はスーツを自宅でクリーニングしてみることにしてみました。
上手くいった部分もあれば、学びのあった部分もあり。総合的に「できるようになってよかった」という感想なので、記録を共有します。
クリーニング代がネックでいろいろ着ようと思わない問題
クリーニング代がネックになると「服を着なくなる問題」が発生することが分かりました。 1回着るとクリーニングに出さなければいけないので「おろす」ことを躊躇してしまうのです。
こうなると毎回おなじ服ばかり着るようになります。クリーニング済みの服を着ないで何とかする為にはどうしたらよいのか?という形の努力をしてしまうのですね。
これは本当に本末転倒な話で、逆に服がもったいないわけです。 そうこうしているうちに時代が進んでその服の旬を逃してしまうわけです。
特に秋冬物はクリーニング代が高くつきます。衣替え1回でクリーニング代が2万円いくことも珍しくありません。
ホームクリーニングできればなぁ、、、と思う理由です。
スーツのホームクリーニングは「ラスボス」これが出来れば何でもできる
ひとくちにホームクリーニングといっても洗うものによって難易度は様々です。 ストールやマフラーなど難易度の低いものからジャケットのようなどう洗えばよいかわからないレベルのものまで。
その中でも「ラスボス」に位置するのはスーツだと思います。
ジャケットは言わずもがな。どう洗えばよいのかわからないレベルの強敵で、スラックスもジャケットとは違う汚れ落としがしたい部分になりますから。
上下ワンセットなので、洗い方を合わせないと違和感出てしまうのもレベルが高い要因です。 このあたりを考慮しながらホームクリーニングをやっていく必要があるわけです。
ジャケットのホームクリーニング。コツは順番と圧力!
さて早速、ジャケットをホームクリーニングしてみます。 今回は手洗いでやっていきます。 なるべく文章で詳しく手順を説明していきます。
準備するもの/必要なもの
・厚手のジャケット用ハンガー
・スチーマー/アイロン/あて布
・酸素系漂白剤(スラックス内側の処理用)
ジャケットをたたむ
まずジャケットをたたみます。 なるべくしわにならないようにたたみます。 超デカイ洗面台でたたまず洗えるならたたみたくないですが、我が家はの洗面台は普通サイズなのであきらめてたたみます。
四つ折りくらいのサイズにたたむと洗面台に入りました。
ここでのポイントは、折りたたんだジャケットを洗面台のボウルの中に未だ入れない事です。
洗濯液をつくる
洗面台のボウルに栓をして洗濯液を作ります。 洗濯液は必ずジャケットをつける前に作ります。
〇 洗面ボウルに水を張る → 洗剤をいれる → ジャケットを漬ける
洗剤は必ず中性洗剤を使います。 エマールやアクロンなど。 今回はエマールで洗いました。
マトモな洗剤なら、パッケージに「液性」と「あらえるもの」が明記してあります。 パッケージに「中性」「ウール」と書いてあれば大丈夫と思いますし、実際いままで自己責任でやってみて大丈夫でした。
エマールやアクロンなど「ウールが洗える洗剤」には縮ませない成分が入っています。 ウールは水につけたタイミングで縮み始めると言われています。
なので順番が大切です。 ジャケット→水→洗剤では、ジャケット→水の時点で洗剤の縮ませない成分が仕事できません。 なので必ず洗濯液=ウール縮まない水にジャケットを入れるという順番が大切になります。
ちなみに水の温度はぬるま湯くらいまでにしておきましょう。 あまりにも温度が高いと高温によるトラブルが起こりますし、逆に温度が低いと洗剤が活性せず汚れ落ちがイマイチになります。 人肌くらいで良いと思います。
超やさしく押し洗いする
洗濯液にジャケットを漬けたらやさしく押し洗いをします。
「ちょっと優しすぎるかな?」くらいで十分です。 ここでがっつり押し洗いをすると後でシワを取るのが大変になります。 ジャケット全体に洗濯液がしっかり通るイメージで2度くらいやれば十分です。
2回ほど押し洗いをしたら、洗濯液に30分くらいつけおきます。
すすぐ
洗濯液に30分ほどつけ置いたらすすぎます。 洗面ボウルの線を抜いて、きれいな水を溜めてすすぎます。
このときも「がっつり押してすすぐ」と後でのシワ取りが大変になると認識してやさしくやりましょう。
脱水はしない
脱水はしません。 ココ、ジャケットのホームクリーニングのポイントだと思います。
脱水をしない理由は、アイロンがけの手間を無くす為です。
浴室で濡れ干しする(ココガポイント!)
脱水をしませんのでジャケットはびたびたです。 この状態で厚手のハンガーにかけ風通しの良いところで干します。
どうしてこうするか?理論を解説します。
先ず、脱水をしない事でシワの発生を抑制します。 シワは圧力によって発生します。 逆に圧力が無ければシワは発生しません。 シワの発生が無ければアイロンがけの必要がありません。 スーツ/ジャケットをホームクリーニングする場合、最大の障害(一番難しい部分)はアイロンがけです。 ジャケットという「立体」をきれいにアイロンがけするには相応の技術が要求されるためです。
そのため、ホームクリーニングでは「極限までしわを発生させないくふう」が重要になります。
ジャケットがびちゃびちゃな状態で干すことも論理的なメリットがあります。
「ジャケットがびちゃびちゃな状態=重い状態」です。 なおかつ、水は上から下に流れます。 このことから、ジャケットをびちゃびちゃの状態で干すと、水の重みでジャケットが伸びる形になります。
脱水をしないで干す「濡れ干し」を行う事でアイロンがけの手間と難易度を下げるという事です。
ちなみに、風通しは本気で気にしてください。 この干し方は性質的に「生乾き」の時間が長くなります。
なので、水滴が落ちなくなったくらいから場所を移動し、サーキュレーター等で風をあてて爆速で乾かすことを意識すると生乾きのにおい対策になって良いです。
アイロンがけ
しわが気になる部分を処理します。
ほとんどスチーマーで取れるレベルと思いますが、ラペル(襟)等はきっちりアイロン充てておくと見た目が締まるので、あて布して伸ばしておくときれいです。
スラックスのホームクリーニング
ジャケットと同様の手順で行います。 手順を変えると仕上がりが変わる為、なるべく同じ手順でやるのが良いです。
スラックスの内側、綿部分のしみや汚れを取りたい場合があると思いますが、酸素系漂白剤を歯ブラシにとってこするくらいの処理でやると良いです。なるべく漂白剤がウール地につかないようにすると良いでしょう。
※酸素系漂白剤も「液性」「使用可能な素材」がありますが、今回の流れだとジャケットに漂白剤を使っていないので、スラックスのみ漂白剤を使ってしまうと上下の風合いに差が出てしまう可能性があるので。
やってみたら意外と簡単だった
実際やってみると、思っていたよりも簡単にできました。 ホームクリーニングなので水を使った洗浄力の高いクリーニング方法になります。
聞いた話ですが、ドライクリーニングよりも汚れを落とす力が強いらしく、ドライクリーニング済みのものを今回の洗浄方法で洗ってみるとしっかり汚れが出てくるとか。 水で落ちる汚れとドライクリーニングの溶剤で落ちる汚れは違うので当たり前といえばそうなのですが。
このくらいの手間ならだいぶハードル低いと思ったので、今後も続けようと思いました。 ちなみに、2着一気に洗うとかはやめておいたほうが良いと思いました。 洗う対象がデカイので、2着一気にやると場所的にしんどいと思いました。
おまけ)コインランドリーでスーツが洗えると思うか?
実際にここまでやってみてコインランドリーでスーツが洗えないか考えてみました。 結論、無理だと思います。
スーツは芯地や裏地などさまざまなパーツが組合せってできている事と、そもそも機械でガラガラ洗浄する事を想定していない事から型崩れが起きると思います。
もし洗えたとして、アイロンがけが地獄だと思います。 洗えるスーツというのがありますが、これは「洗う事」を想定していますからできると思いますが、結局「洗い方」を気を付けないとヨレヨレになってしまうと思います。
「しわがつかない=パリッとしている」ではない為です。 なので、しわになりにくい洗い方をして、ラペル(襟)などポイントになる部分はしっかりアイロン充てるくらいが良いバランスなのだと思いました。
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